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新型コロナ感染確定数と人の移動量のズレ

新型コロナウイルス感染確定数グラフと人の移動量のずれグラフ

 上記グラフの赤い線が人の移動量(1)、青い棒グラフが一日の新型コロナ感染確定数(2)です。赤い人の移動量グラフは青いグラフの頂上と重なるように22日未来へずらしてあります。これは、新型コロナウイルスに接触し、PCR検査して新型コロナ感染陽性が確定するまで日数がかかるためです。ニュースなどでは二週間程度で外出自粛の効果が現れてくると言われています。しかし、22日としたほうがしっくり来るグラフになります。一週間程度差があるのはなんでだろうと考えました。

 ウイルスに接触してから潜伏期間が6日程度、発症して医院を受診(2日)、二度目の受診(2日)、三度目(2日)の受診で新型コロナ専門外来を受診、PCRして電気泳動して結果が発表されるまで日をまたいで2日、単純に合計14日。つまり二週間程度ですね。

 しかし、上記グラフの赤と青のグラフを二週間ずらしてもしっくりとせず、22日ずらすとしっくりときます。残り8日程度は何なのか、不思議に思っていました。

 PCR検査をできるだけしないよう先延ばしにした可能性もあります。それにしても8日は長い。これはおそらく、人から人へ感染したのではなく、感染者が触った物にウイルスが付着し、数日後に他者がその部位を触ってしまったことによる感染の可能性が考えられます。

 ただ、NEJMの論文(3)を見ると、ウイルスが感染能力を持つ期間が、空気中(3時間以上)、プラスチック(72時間)、ステンレス鋼(48時間)、銅(4時間)、段ボール(24時間)と長くて3日くらいです。しかし、この時間はTCID50と言って並べた細胞の50%が感染する時間のことなので、実際の感染する期間はもう少し長くても良いような気がします。この補正を考えると上記のグラフのズレが何となく理解できてきます。

 このグラフのズレの原因はPCR検査の先送り(若干)と、何より、物へ付着したウイルスの感染能力が数日間あること、の両方が予想されます。

 手洗いと、物の消毒が大事です。

  1. 赤の移動量のデータはアップルのGPSでデータを元にして日本のwalking、transit、drivingの単純平均をとったものです。(APPLE Mobility Trend Report
  2. 青の一日の新方コロナ感染確定数は、ジャッグジャパン株式会社のデータを使用しています。
  3. Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1 Engl J Med 2020; 382:1564-1567

 

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