リコピンの効能・作用と摂取の仕方｜けんこうの森薬局（山形県天童市）

　昨日、患者さんからスイカをいただきました。真っ赤で美味しそうです。

この赤はリコピンという自然の赤色の色素で、トマトの赤色と同じものです。

　リコピンはコレステロールの合成を抑え、ＬＤＬコレステロールを減少させることで心血管系の病気の予防に有効[1]です。さらに前立腺がん、皮膚がん、乳がん、肝臓がんの予防にも有効[2]だという研究結果もあります。

　しかし、がんの予防効果については疫学調査をするとリコピンのがん予防効果と矛盾する結果[3、4]があらわれ、ＦＤＡはトマトの摂取(リコピン摂取)と肺がん、直腸がん、乳がん、子宮頸がんの間には関係性を示すエビデンスはなく、前立腺がん、卵巣がん、胃がん、すい臓がんにはがんのリスクを減少させる限定的なエビデンスは存在する[5]という結論に至っています。

　では、抗酸化物質であるリコピンは摂取しないほうがいいのでしょうか。American Cancer Societyでは、

抗酸化物質のサプリメントががんのリスクを下げるという研究は見つかっていない。むしろ、ベータカロテン、リコピン、ビタミンＥなどの抗酸化物質のサプリメントはがんのリスクを上げるという研究もある。がんのリスクを下げる為には、抗酸化物質をサプリメントよりも、食物から摂取するというのがベストだ[6]

　と言っています。

　すると、「スイカを沢山食べればいいのか！」という人が出てきますが、なんでも食べ過ぎはダメで、リコピンの過剰摂取は吐き気、下痢、消化不良、腹部膨満などの副作用が出るようです。（クリニカルトライアルでこういった症状で脱落した人がいるようです[7]。）それにスイカはカリウムが多いので、過剰摂取は高カリウム血症になりやすく、特に血圧の薬でＡＲＢ、ACEiという系統の薬を服用している人は注意が必要です。不整脈や筋力低下が現れることもあります。もし、効率よく摂取したいなら、リコピンは脂溶性なので、油物と一緒に服用すると吸収がよくなります[8]。だからといって脂っこいものを食べなくても、食後に摂取するだけで十分吸収が良くなると思われます。

　結論として、サプリメントに頼らず、リコピンが多く入った食べ物を、食後に食べるというのが良い摂取の仕方だと思います。